最終2社で価格に負けるのはなぜ?住宅営業が値引き合戦に入る前にできること

住宅営業の最終2社は、五分五分ではありません。どちらかが本命で、もう一方は対抗馬です。本命がミスをしない限り本命で決まり、差がない状態では価格で選ばれます。逆転できる唯一の方法と、他社の値引きに対して先に打っておく布石、そもそもこの局面に持ち込まないための3つの状態をまとめました。
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この記事の要点
- 最終2社が五分五分ということはほぼない。本命と対抗馬に分かれている
- 対抗馬のまま最終局面に入った商談の契約率は、実データで約5%
- 価格差100万円までは挽回の余地がある。300〜350万円差は月々約1万円の差になる
- 逆転できるとしたら、お客様の期待を超える提案だけ
- 値引きは基本しない。他社の値引きには、見積もりを出す段階で布石を打つ
住宅営業の最終2社は、五分五分ではありません。どちらかが本命で、もう一方は対抗馬です。 本命がミスをしない限り、そのまま本命で決まります。ALLGRIT セールスAIの商談解析データでも、対抗馬の位置で最終局面に入った商談は約5%しか契約になっていません。
最終2社は、五分五分ではない
住宅営業でいう最終2社とは、資金計画とプランが出そろったあとの比較です。どんな間取りで、最終見積もりがいくらで、どういう性能の家なのか。同じ土俵に並べられた状態を指します。
ここで本当にどちらも迷っている、というケースはほとんどありません。お客様の中ではすでに本命が決まっていて、もう一方は対抗馬の位置にいます。だから逆転は、本命の会社が何かミスをしたときにしか起きません。
数字でもそう出ています。当社が商談解析を代行している住宅会社の通期データでは、二番手以下と判定された商談の契約率は約5%でした。一番手の約38%と比べて、およそ8倍の差です。
| お客様の中での位置 | 契約率 |
|---|---|
| 一番手 | 約38% |
| 横並び(優勢) | 20.3% |
| 横並び(劣勢) | 11.9% |
| 二番手以下 | 約5% |
区分ごとの実数と集計の条件は番手別の契約率を実データでにまとめました。
自分がどちらの位置にいるかは、聞けば分かります。「今のところ、一番いいと思っているメーカーさんはどちらですか」と帰り際に聞いて、自社の名前が出てくるかどうかです。聞けていない商談は、位置が分からないまま最終局面に入ります。
差がないと、お客様は価格でしか選べない
お客様の立場で考えると、当然の話です。2社の提案にほとんど差を感じられないとき、選ぶ材料は価格しか残りません。「決め手がないから安いほう」は、お客様が不合理なのではなく、差を伝えられなかった結果です。
住宅の場合、価格差がどのくらいなら覆るかには目安があります。
| 2社の価格差 | お客様の受け止め方 |
|---|---|
| 100万円前後まで | 内容次第で覆る余地がある |
| 300〜350万円 | 毎月の返済額が1万円近く変わる。価格で選ばれやすい |
住宅は35年前後のローンで買うものなので、総額の差がそのまま毎月の生活費の差に翻訳されます。300万円を超えたあたりから、「気に入っているほう」より「払い続けられるほう」に判断が寄っていきます。
さらに住宅は、ご夫婦やご両親を含めて決める買い物です。「なんとなくこっちが好き」は共有しづらく、金額は誰にでも共有できます。家族の中で話し合うほど、判断は価格に寄っていきます。
この局面をつくるのが上手い会社がある
大手ハウスメーカーは、この状況をつくるのが上手です。最終2社まで各社を横並びに持っていき、そこから最終キャンペーンや値引きで取りにきます。価格の引き出しを最後まで残しておく戦い方です。
一方、ローコストを主戦場にしていない中小の工務店にとっては、この場面に持ち込まれた時点でかなり不利です。値引きの原資が薄いうえに、横並びにされた時点で差が消えているからです。
だからこの記事の結論は、最終局面での交渉術ではありません。ここに持ち込まれないことと、持ち込まれる前に布石を打っておくことです。
同じ土俵に乗らないためには、比較される項目を自社側でずらす必要があります。間取り・金額・性能だけで並べられたら、規模の大きい会社が有利です。その3つに入っていない価値を、商談の途中で渡しておくことになります。
逆転できるとしたら、期待を超える提案だけ
それでも最終2社になってしまったときに、唯一効く手があります。お客様の期待を超える提案をすることです。
期待どおりの提案では差がつきません。お客様が「こういう間取りにしたい」と言い、そのとおりに図面を起こす。これは期待どおりであって、期待を超えてはいません。他社も同じことをしてきます。
超えるというのは、こういうことです。お客様が本当に実現したいことを、お客様以上に深く理解する。そのうえで、言われた間取りとは違う案を出し、「ご希望はこういうことですよね。それならこちらのほうが叶います」と提示する。 ここまでやって、はじめて順位が動きます。
たとえば「収納を増やしたい」という要望をそのまま受けると、収納が多い図面になります。そうではなく、片づけに時間を取られているのが本当の困りごとなら、片づけが発生しない動線を提案するほうが刺さります。
この提案ができるかどうかは、才能ではありません。前の商談でお客様が何と言っていたかが、どこまで細かく残っているかで決まります。要望をメモした一行ではなく、言葉そのものが残っているかどうかです。
ただし前提は変わりません。お客様が決定権を持ち、2社から選ぶという状態になった時点で、契約率を自社でコントロールする権限は手放しています。逆転は例外であって、設計の中心に置くものではありません。
値引きで返す前に、布石を打っておく
他社の大幅値引きは、出てきてから対応すると手遅れです。自社の見積もりを出す段階で、先に伝えておきます。
| 伝える場面 | 伝えること |
|---|---|
| 自社の見積もりを出すとき | 「うちは値引きを前提にした金額の出し方をしていません」 |
| 他社の値引きが予想されるとき | 「値引きができるということは、もともとその分を乗せている可能性があります」 |
| 値引きが実際に出てきたとき | 「交渉しなければ、その分を払うことになっていたわけです。どちらが誠実かで見てください」 |
値引きで対抗すると、その瞬間に商談は価格の勝負になります。しかも一度値引きで戻した信頼は、次の商談でも値引きを期待される前提をつくります。
この布石は、他社を落とすために言うのではありません。お客様が同じ金額を払うとき、その中身が何でできているのかを見てもらうための情報です。中立的に伝えるほど効きます。
自社が値引きする場合も、単純な値下げは避けます。完成した家をモデルハウスとしてお借りする、といった別の対価に転換できる形に限って、限定的に使うのが健全です。
そもそも最終2社に持ち込まない
持ち込まれない商談には共通点があります。商談の中盤までに、次の3つが取れています。これは購買心理の6ステップのうち、順位に直結する3つです。
| 状態 | 意味 | 取れていない商談 |
|---|---|---|
| 相談了解 | 「この人に相談したい」と思われている | 説明してくれる人の一人で終わっている |
| 問題点共有 | 家づくりの障害を一緒に洗い出し、越える側に回っている | 要望を聞いただけで終わっている |
| 差別化 | 自社にしかできないことが、その障害にどう効くか伝わっている | 工法や仕様の説明が一般論のまま |
とくに差別化は、性能値の高さでは動きません。気密・断熱の数値は他社も同じ水準を出してくるからです。自社にしか提供できない領域を、お客様の困りごとと結びつけて伝えられているか。 ここが順位を分けます。
3つが取れたら、そのつど合意を取っていきます。資金計画はこれでいきましょう、土地はここでいきましょう、と一つずつ確かめる。最後は「お建てになるなら、ぜひ当社と一緒に進めませんか」まで言い切ります。この積み重ねがないまま提案だけ重ねると、最終2社に並べられます。
この3つが取れているかは、営業本人の感触では分かりません。「感触は良いです」ではなく、お客様が実際に何と言ったかを見る必要があります。商談を録音して振り返ると、どの場面で落ちたかまで特定できます。やり方は住宅営業の番手とはと入力ゼロのAI商談解析にまとめました。
まとめ
最終2社は五分五分ではなく、本命と対抗馬に分かれています。対抗馬のまま最終局面に入った商談は、実データで約5%しか契約になりません。差がなければお客様は価格で選ぶしかなく、300〜350万円の差は毎月約1万円の差になります。
逆転できるとしたら、期待を超える提案だけです。値引きで返すのではなく、見積もりを出す段階で布石を打っておきます。
打ち手の中心は、最終局面ではなくその手前です。相談了解・問題点共有・差別化の3つを商談の中盤までに取ること。取れているかを記録で確かめる仕組みはサービス紹介資料、実際に運用を変えた会社は導入事例でご覧ください。
比較条件が変わった案件は、案件一覧の段階と更新ルールに沿って、提案の版・未確認事項・次の行動を残します。過去の見積を最新の合意内容と取り違えないためです。
よくあるご質問
最終2社から逆転することはできますか?
できないわけではありませんが、方法はひとつです。お客様の期待を超える提案をすること。言われた要望をそのまま形にするのではなく、実現したいことから逆算して、お客様自身が気づいていなかった案を出すやり方です。
価格差はどこまでなら覆せますか?
目安は100万円前後です。300〜350万円変わると毎月の返済額が1万円近く動くため、価格で選ばれる可能性が高くなります。
他社が大幅値引きを出してきたら、値引きで対抗すべきですか?
基本的にはおすすめしません。値引きで戻した信頼は、次の商談でも値引きを期待される前提をつくります。対抗するより、見積もりを出す段階で「値引きできる会社は、もともとその分を乗せている可能性がある」と伝えておくほうが効きます。
自社が値引きをしてもいい場面はありますか?
単純な値下げではなく、別の対価に転換できる場合に限ります。完成した家をモデルハウスとしてお借りする、といった形です。値引き額だけが動くなら、やらないほうがいいと考えています。
最終2社に持ち込まれないためには何が必要ですか?
相談了解・問題点共有・差別化の3つが、商談の中盤までに取れていることです。この3つが揃っていれば、お客様の中で自社が本命になり、最終局面が「2社から選ぶ場」ではなくなります。


