成約率

契約率が下がる住宅会社の特徴とは?10の危険信号と初回接客の立て直し方

公開: 著者:河野 清博
契約率が下がる住宅会社の特徴とは?10の危険信号と初回接客の立て直し方

契約率が下がっている住宅会社には、数字に出る前に現れる共通のシグナルがあります。来場単価が上がり続けているいま、契約率20%は健全性を測る境目になりました。ALLGRIT セールスAI で各社の商談を見ていても、落ちている会社のサインはよく似ています。10のシグナルと、立て直しの起点になる初回接客の設計を解説します。

なぜ契約率20%が境目なのか

理由は単純な計算です。来場単価は3年前と比べて2〜3倍になり、いまは全国平均で7〜10万円程度になっています。

契約率10%なら、1件の契約に来場10件分、つまり100万円前後がかかります。20%なら50万円程度に収まります。同じ集客費でも、契約率が倍になれば獲得コストは半分になります。

一方で、上げられる余地はむしろ広がっています。当社が運営する住宅相談カウンターのデータでは、1世帯が来場する会社数は、かつての5〜6社から現在は平均2.5社程度まで減りました。お客様は来場前にかなり絞り込んでいます。

つまり、来た時点で有望なお客様の比率は上がっています。それでも契約率が20%に届かないなら、原因は集客ではなく商談側にあります。

案件の流れに出る4つのシグナル

まず、案件リストや受注構成を見れば分かるものから挙げます。

#シグナル何を意味するか
受注の3割超が、他社が敬遠する案件条件がそろったお客様に選ばれていない
初回アポは取れるが、2回目以降が自然消滅するアポは取れても信頼関係が築けていない
5回面談したのに失注・中長期になる決まる客に時間を寄せられていない
気づかないうちに他決になっている断りの連絡すらもらえない関係だった

①は、農地がらみ・売却がらみ・資金面に事情のある案件が受注の3割を超えている状態です。難しい案件を取れること自体は強みですが、それしか残っていないなら別の話になります。

④も見落とされがちです。最後まで検討されていれば、多くの場合お断りの連絡が入ります。いつの間にか他決していた、という報告が続くなら、そもそも相手にされていなかったと考えるほうが実態に近くなります。

報告とマネジメントに出る3つのシグナル

次に、営業会議のやりとりに出るものです。

#シグナル何を意味するか
「私はこう思います」しか言えないお客様から事実を聞けていない
自社が何番手か答えられない次の打ち手を組み立てられない
セールスステップを守らせすぎている比較の前倒しに追いつけていない

⑤は分かりやすい指標です。案件の状況を聞いたとき、強いチームは「お客様はこう言っていました」と事実で答えます。弱いチームは主観と希望しか出てきません。

⑥では、競合がいるかどうかより番手の情報が重要です。自社が2番手なら、1番手の理由が明確なのか、なんとなくなのかで打ち手はまったく変わります。正直に何番手かを聞くのは勇気が要りますが、聞けている会社は聞けています。

⑦は良かれと思ってやっている運用が裏目に出る例です。セミナーに参加しないとプランや見積もりを出さない、といったルールは、比較が前倒しになっている市場ではスピードを落とし、見切られる原因になります。

ステップは守らせるものではなく、飛ばしたときに何が起きるかを担当が理解しているかが本質です。 意味を理解していれば、状況に応じて順番を組み替えられます。ルールとして運用した瞬間に、判断が止まります。

文化に出る3つのシグナル

最後は、社風として現れるものです。

#シグナル何を意味するか
いい人ばかりで、したたかさがない手札の切り方を組み立てられない
お客様目線を理由に、決断させない決めてもらう仕事を放棄している
失注客にインタビューしていない負けた理由を学ぶ機会が社内にない

⑧は、お客様に求められるまま情報を出してしまう状態です。競合の進み具合を考えずにプランを出し、ほとんど同じ内容を少し変えただけの提案で他社に決まる、という負け方が起きます。

⑨のお客様目線は、それ自体は正しい姿勢です。ただし、家を買うかどうかを決める後押しはセールスの仕事です。決定権をお客様に預けたまま進める商談は、決まらないまま長期化します。

⑩は差がはっきり出ます。弱い会社は決まったお客様に「なぜうちを選んだのか」を聞きます。強い会社は失注したお客様に「なぜ選ばれなかったのか」を聞きに行きます。経営者自らプランと見積もりを持って、どこで心が離れたのかを確かめに行く会社もあります。

理由は明快で、契約したお客様の話からは、改善点がほとんど出てこないからです。決めた理由は後づけで語られやすく、聞いていて気持ちがよいぶん、次に活きる情報にはなりません。負けた理由のほうが具体的です。

聞きに行くのは気が重い作業です。それでもやっている会社とやっていない会社では、1年で蓄積される情報量がまったく変わります。

立て直しは「ゼロ次接客」から

チェックが多くついた場合、着手すべきは初回接客です。この業界の原理原則は変わっていません。ただし、勝負のポイントが前倒しになった分、当日だけでは足りなくなりました。

そこで来場前の事前ヒアリング、いわばゼロ次接客を設計します。来場前に30分かけて話を聞き、その情報をもとに準備して初回接客に臨む会社があります。当日の質が上がり、結果として全工程の数字が動きます。

この投資が効くのは、選ばれる理由が信頼だからです。国土交通省の調査では、注文住宅取得世帯が住宅を選んだ理由の1位は「信頼できる住宅メーカー(不動産業者)だったから」で55.3%でした(令和6年度 住宅市場動向調査)。準備の量は、そのまま信頼の差になって表れます。

初回接客の後に、必ず分かっている5つのこと

初回接客のゴールを、情報の量ではなく次の5点に置きます。

#確認すること
1そもそも建てられる方か(資金面・建築の可否)
2現状どこを見ていて、いちばん手はどこか。その理由は明確か、なんとなくか
3自社で建てたいと思ってくださっているか
4その中で自社は何番手か
5自社が最上位になれる可能性はあるか

5番目は直接聞きます。ここまで分かっていれば、マネージャー側の判断がまったく変わります。2番手でも上位の理由が薄いならひっくり返せる、逆に理由が固いなら他の案件にリソースを寄せる、といった配分ができるようになります。

逆に、この5点が空欄のまま案件が進むと、会議は感触の報告会になります。時間をどこに使うかを決められないことが、契約率が下がる会社の共通点です。 案件の数ではなく、配分の精度が効いてきます。

チェックリストとしての使い方

10のシグナルは、自社に当てはめてチェックを付けるだけで使えます。3つ以上つくようなら、集客より先に商談側を見直す段階です。

注意したいのは、どのシグナルも担当者の主観では見つけにくいことです。⑤や⑥のように、聞けていないこと自体に気づけないものが多いためです。商談の記録が残っていれば、事実として確認できます。

全商談を録音して振り返りを回し、来場成約率が12%から25%に変わった導入事例もあります。どの工程が弱いかを先に切り分けたい場合は、成約率の分解成約率改善のロードマップ資料セミナーもご利用ください。

よくあるご質問

契約率はどのくらいあれば健全ですか?

20%が目安です。来場単価が上がり続けているため、10%前後だと1契約あたりの獲得コストが重くなりすぎます。20%を超えていれば、集客への投資を回収しながら事業を伸ばせる水準になります。

大変な案件が多いのは、営業力とは関係ないのでは?

受注の3割を超えているなら関係があります。他社が敬遠する案件しか残っていないということは、条件がそろったお客様に選ばれていない可能性が高いためです。受注案件の構成比は、営業力の間接的な指標になります。

5回会っても決まらないお客様は、粘るべきですか?

本来なら決まっているはずの回数です。可能性がゼロではないから会い続けている状態だと、契約にならなければ売上はゼロなので、時間だけを失います。番手と可能性を確かめて、リソースを配分し直します。

セールスステップを守らせるのは間違いですか?

守らせすぎると逆効果になります。セミナー参加を必須にしないとプランを出さない、といった運用は、比較が前倒しになっている今の市場ではスピードを落とし、お客様に見切られる原因になります。

立て直しは何から始めればいいですか?

初回接客です。ただし当日だけでなく、来場前の事前ヒアリング(ゼロ次接客)から設計します。そのうえで、初回接客後に建てられる人か・現状の番手・自社で建てたい意思の5点が分かっている状態を目標にします。

出典・参考

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