営業マネジメント

強い営業組織の特徴とは?全員が売れる住宅会社に共通する7つの条件

公開: 著者:河野 清博
強い営業組織の特徴とは?全員が売れる住宅会社に共通する7つの条件

強い営業組織とは、成約率20%を一部のエースではなく全員が出せている会社です。住宅業界でこの水準にあるのは、体感で10社に1社ほど。ALLGRIT セールスAI で各社の商談を見ていても、平均が高い会社と全員が高い会社はまったく別物です。上位1割に共通していた7つの条件と、どこから手をつけるべきかを解説します。

強い営業組織の基準はどこにあるか

判断の物差しは2つだけです。成約率20%が出ているか。そしてそれを全員が出せているか。この2つ目が抜けている会社が圧倒的に多くなります。

組織の強さは、おおむね3段階で進みます。

段階状態弱点
個人で売れる突出した個人がいて、平均が引き上がっているその人が抜けると元に戻る
仕組みで売れる型やツールが整い、一定の水準までは誰でも出せる型を超える場面で止まる
文化で売れる決めたことを全員がやりきる状態になっているここまで来る会社が少ない

上位1割の会社に共通していたのは、次の7つでした。前半2つが社外に向いた条件、後半5つが社内の条件です。

#条件向き
会話の主語が顧客になっている社外
競合との勝ち負けに敏感である社外
平等主義ではなく実力主義が土台にある社内
引き上げる文化と共有の文化がある社内
決めたことを成果が出るまでやりきる社内
自分ではなく成果にプライドを置いている社内
会社と商品に、営業自身が納得している社内

①会話の主語が顧客になっている

社内の会話を聞くと、その会社の強さはだいたい分かります。強いチームはお客様を主語に話し、弱いチームは自社の都合を主語に話します。

よくある相談の形がこれです。「営業がうまく話せないので、こういうツールを作ってみたのですが、どう思いますか」。ここで「そのツールは、お客様のどんな課題を解決するために必要なのですか」と聞き返すと、答えられないことが少なくありません。

主語が自社になっている施策は、たいてい定着しません。 逆に「お客様にこう思ってほしいのに、いまそうなっていない。だからこの形にした」という説明が出てくる会社は、たいていうまくいきます。

社内が主語になっている会話は、口ぐせとして表に出ます。

いずれも自社の内側だけで完結していて、お客様がどうなってほしいのかが出てきません。弱いチームほど、売れない原因を社内に探します。しかし自社が何も変えていないのに売れなくなったのであれば、変わったのは顧客か競合のどちらかです。

市場そのものも縮んでいます。2025年の新設住宅着工戸数は74万667戸で前年比6.5%減、持家は20万2,185戸で前年比7.7%減と、4年連続の減少でした(国土交通省 建築着工統計調査報告)。同じ数を売るだけでも、シェアを取りにいく必要があります。

②競合との勝ち負けに敏感である

強いチームには、いい意味での緊張感があります。逆に「最近うちは競合がいないんですよね」という言葉が自然に出てくる会社は、危険な状態です。

競合がいないということは、まずありません。競合が見えていないのは、比較される前に見切られているか、最初から自社で決めていたお客様しか取れていないかのどちらかです。

感度の高い会社では、他社の動きを共有するやり取りが自然発生します。日常的に流れているのは、こうした情報です。

①②をまとめると、顧客・競合・自社の3つのうち、外側の2つに対するアンテナが立っているかどうかに尽きます。

単価が上がるほど、この感度は効いてきます。平均単価が3,000万円に近づくと、これまで競合しなかった大手ハウスメーカーと当たり前に比較されるようになります。商品の良さだけで決まる比率は下がり、担当者も良かった、と言われないと選ばれません。

③④実力主義と、引き上げる文化はセットにする

平等主義とは、お客様のリストを全員に均等に配る運用のことです。公平ではありますが、この配り方で組織が強くなることはほとんどありません。

伸びている会社は、成約率や顧客満足度の高い担当に、優先的にお客様が回る仕組みを持っています。同じ来場数でも、誰が受けるかで結果が変わる以上、自然な判断です。

ただし実力主義には副作用があります。ノウハウが飯の種になるため、各自が抱え込むようになることです。全員に売ってほしいから平等主義に戻す、という判断が起きるのはこのためです。

強い会社の答えは、戻すことではありません。実力主義を土台に置いたまま、引き上げる文化と共有の文化を重ねます。 自分が培ったノウハウを若手や同期に惜しみなく渡せる状態があれば、実力主義の副作用は打ち消せます。

この共有は、精神論だけでは回りません。商談の中身が記録として残っていなければ、渡せるものが「先輩に聞く」しかなくなります。営業の属人化を解く土台は、この記録にあります。

⑤実行とは、成果をつかむまでやりきること

実行という言葉は、人によって定義がばらつきます。多くの人は「決めたことを行うこと」と答えます。しかしこの定義だと、やったがダメでした、で終わってしまいます。

ある経営者は、実行をこう定義していました。実行とは行いを実らせると書く。だから行動することではなく、成果をつかみ取るまでやりきることを実行と呼ぶ、と。

この定義がチームに入っていると、経営の意思決定がそのまま成果につながります。逆に弱い会社で起きているのは自己解釈です。前回そう決まったが自分は違うと思っていたのでやらなかった、やったが違うことをしていた、というずれが積み重なります。

こうなると、決めたことをどうやってやってもらうか、という一段手前の問題にリソースが吸われます。本来なら成果を上げるために使う時間が、実行させるための調整に消えていきます。

経営側から見た意味も大きくなります。ここまでやりきってダメだったなら自分の決めた内容が間違っていた、と言い切れる状態があってはじめて、意思決定の精度を上げていけるためです。やりきられていない施策は、良し悪しの判断すらできません。

マネジメント側から見て、ここが揃っているかどうかは報告の可視化の前提になります。

⑥⑦プライドの置き場所と、商品への納得

自分自身にプライドがある人は、やり方を変えられません。世の中が変わればやり方も変える必要があるのに、変えることが自分の否定になってしまうからです。

一方、成果にプライドを置いている人は、相手が同僚や後輩でも「教えてください」と言えます。素直さと言い換えてもかまいません。この違いは、新人の質問に表れます。断熱性能はなぜ大事なのか、といった率直な質問が出る会社と、それは自分で考えろと返ってしまう会社があります。

最後の条件は、会社と商品に営業自身が納得していることです。住宅がコモディティ化するほど、フロントに立つ担当が本気で良いと思えているかは、そのままお客様に伝わります。

少しでも疑いを持ったまま商談に臨んでいる状態で、成約率が上がることはありません。 自信が持てないなら、まずチームで商品について話し合い、納得を作るところから始めます。

7つのうち、どこから手をつけるか

7つを同時に始めるのは現実的ではありません。優先順位は明確で、①と②、つまり社外に向いた2つからです。社内の制度や文化より、対顧客・対競合の感度のほうが結果に直結します。

①②に自信があると言える会社が、③以降の内部の項目に進みます。順番を逆にして、制度や研修から手をつけると、市場の変化に気づかないまま社内改善だけが進む状態になりがちです。

まず自社がどの段階にいるかを確かめるには、担当ごとの結果を同じ物差しで並べるところからです。全商談を録音して振り返りを回し、来場成約率が12%から25%に変わった導入事例もあります。個人ではなく組織として上げる進め方は、成約率改善のロードマップ資料セミナーでも扱っています。

よくあるご質問

強い営業組織の基準は何ですか?

成約率20%を、一部のエースではなくチーム全員が出せている状態です。平均が高いだけの会社は、個人の突出で数字が作られていることが多く、その人が抜けると元に戻ります。住宅業界でこの水準にある会社は10社に1社ほどです。

営業が売れないのは、教育が足りないからですか?

社内に原因があるとは限りません。自社が変わっていないのに売れなくなったのなら、変わったのは顧客か競合です。弱いチームほど社内に答えを探し、強いチームは顧客と競合の変化に対する感度が高い傾向があります。

リストを平等に配るのは公平ではないのですか?

公平ですが、組織は強くなりにくい方法です。伸びている会社は、成約率や顧客満足度の高い担当に優先的にお客様が回る仕組みを持っています。ただし実力主義だけだとノウハウが囲い込まれるため、共有の文化と必ずセットにします。

「実行文化がある」とは具体的にどういう状態ですか?

決めたことを、成果が出るまでやりきる状態です。実行を「行動すること」と捉えると、やったがダメだったで終わります。行いを実らせるところまでを実行と定義している会社は、経営の意思決定がそのまま成果につながります。

7つを一度に始めるのは難しいのですが、どこからやるべきですか?

顧客が主語になっているかと、競合の勝ち負けに敏感かの2つからです。社内の制度や文化より、対顧客・対競合の感度のほうが結果に直結します。この2つに自信がある会社が、実力主義や共有の文化といった内部の項目に進みます。

出典・参考

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