営業マネジメント

住宅営業の研修は何をやるべきか?効く順番と、効かない研修の共通点

公開: 著者:河野 清博
住宅営業の研修は何をやるべきか?効く順番と、効かない研修の共通点

住宅営業の研修が現場で効かない原因は、内容ではなく順番にあります。知識から入ると、覚えたことを伝えなければという意識が先に立ち、説明を頑張る営業が育ちます。ALLGRIT セールスAI で商談を解析していても、売り込みに聞こえる商談は初期の教え方に原因があります。効く順番と、効果の測り方を整理します。

研修をやっていない会社は多くない

実施率そのものは高い水準です。厚生労働省の調査では、計画的なOJTを正社員に実施した事業所は61.1%、OFF-JTは71.6%にのぼります(令和6年度 能力開発基本調査)。

つまり問題は「やっていないこと」ではありません。やっているのに現場が変わらないことです。効かない研修には共通点があります。

よくある形何が起きるか
初日にマニュアルを渡して読み込ませる知識を伝えることが仕事だと認識する
その内容でいきなりロープレをさせる説明の巧拙で評価される基準が入る
座学のあと現場に出して終わり学んだことが商談で使われたか分からない
満足度アンケートで効果を測る行動が変わったかは測れない

体験を先、知識を後にする

順番を入れ替えるだけで、同じ資料の意味が変わります。新人育成なら、次の順で進めます。

  1. 競合10社以上をお客様として回る(覆面調査)
  2. 自社商品を自分で体験する
  3. 売らなくていい相手に商談する
  4. 過去の来場客へ架電し、再商談を取る

1つ目が最も重要です。知識がない状態でしか、本当の意味でお客様と同じ立場で商談を受けることはできません。 先に営業側を経験すると、この視点は二度と手に入りません。

マニュアルを渡すのは2の段階です。体験が先にあると、マニュアルは覚える対象ではなく、自分の実感を裏づける資料として読めます。詳しい進め方は新人育成のロードマップにまとめました。

3つ目の「売らなくていい相手に商談する」も外せません。尊敬できる先輩や親族に本番同様に話し、「それなら今は買わないほうがいいですよ」と言える関係で練習します。これを飛ばして新規客の前に立つと、来たお客様に全部売りつけるのが癖になります。

新人と中堅で、研修の役割は逆になる

同じ研修を全員に当てても効きません。段階によって必要なものが違います。

新人中堅
目的型をつくる型を壊す・更新する
素材他社と自社の体験、基本のトークスクリプト自分の実商談の記録
効く形ロープレ、同席失注商談の振り返り
評価工程を飛ばさず通れるか通用しなくなった型に気づけるか

中堅に新人向けの研修を当てると、知っている話を聞かされる時間になります。逆に新人へ実商談の振り返りだけをさせても、比べる型がないため何が良くなかったのか分かりません。

中堅がつまずくのは、以前は通用した型が効かなくなったときです。住宅の同質化が進み、比較が前倒しになったぶん、商品説明で差がついた時代のやり方は届きにくくなりました。本人の努力不足ではなく、市場が動いたという前提で扱わないと、研修が否定として受け取られます。

練習だけでは埋まらないもの

ロープレは型をつくる段階で非常に効きます。一方で、練習の中で起きたことしか扱えません

練習でできたことが本番でもできているかは、実際の商談を見ないと分かりません。練習では拾い返せた情報を、本番では流してしまう。このずれはよく起きます。

そこで、研修の設計を3層にします。

3つ目があると、ロープレのお題が想像ではなく実態から出てきます。失注した商談で、どこで止まったのかが分かれば、それがそのまま来週のお題になります。

お題の粒度も決めておきます。「初回接客」では漠然としていて、演じる側が場面を自分で決めてしまいます。工程とお客様の状態まで指定して、はじめて同じ場面を全員で見られます。

指摘は1回にひとつだけに絞り、直した形をその場で言い直させます。複数指摘すると、どれも身につきません。

効果は「商談の中身」で測る

満足度アンケートでは効果は測れません。研修直後の手応えと、3か月後の数字は一致しないためです。

代わりに、行動の変化として確認できる項目を先に決めます。

見る項目変わっていれば
順位を確かめる質問が出たかクロージングの前さばきが入った
返しが個別論になったかヒアリングが情報搾取から抜けた
条件を幅で聞けているか合意できる範囲を引けるようになった
次の宿題を残せているか追客が「前回の続き」から始められる

いずれも、商談が記録されていれば事実として確認できます。手応えや印象で評価すると、指導する側の経験に左右されます。

数字で見るなら、研修前後で商談化率成約率を並べます。ただし住宅は1件の金額が大きく件数が少ないため、単月の増減では判断できません。行動の変化を先に確認し、数字は数か月の推移で追うのが現実的です。

研修を続けられる形にする

外部研修は、一般的な営業スキルであれば有効です。ただし自社の商品と商圏に関わる部分は、外部の型をそのまま持ち込んでも機能しません。商圏も競合環境も違うためです。

続けるうえでの現実的な制約は、指導する側の時間です。1人に3か月付きっきりになれる会社は多くありません。商談が記録として残っていれば、同席できなかった商談にも後から目を通して指摘でき、密度を落とさずに済みます。

全商談を録音して振り返りを回し、来場成約率が12%から25%に変わった導入事例もあります。研修の素材づくりと、営業の属人化を解く進め方は、成約率改善のロードマップ資料セミナーでも扱っています。

よくあるご質問

営業研修が現場で効かないのはなぜですか?

知識を先に入れているためです。マニュアルや商品知識から始めると、覚えたことを伝えなければという意識が先に立ち、説明を頑張る営業に育ちます。体験を先、知識を後にすると同じ内容でも定着が変わります。

新人と中堅で研修内容はどう変えますか?

新人は型をつくる研修、中堅は型を壊す研修になります。新人には競合の覆面調査や自社商品の体験など、お客様の立場を通る内容が効きます。中堅には自分の実商談を素材にした振り返りのほうが効きます。

ロープレだけでは足りないのですか?

型をつくる段階では非常に効きますが、練習の中で起きたことしか扱えません。本番で同じことができているかは、実際の商談を見ないと分かりません。練習でできて本番で流す、というずれはよく起きます。

研修の効果はどうやって測ればいいですか?

満足度アンケートではなく、商談の中身が変わったかで測ります。順位を確かめる質問が出るようになったか、返しが一般論から個別論に変わったか。行動の変化として確認できる項目を先に決めておきます。

営業研修は外部に頼むべきですか?

一般的な営業スキルは外部でも構いませんが、自社の商品と商圏に関わる部分は社内でしか作れません。外部の型をそのまま持ち込むと、商圏も競合環境も違うため現場で機能しないことがあります。

出典・参考

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