住宅営業の番手とは?「買って」が言えない営業マンは選ばれない

本命になれない住宅営業には共通点があります。「買って」が言えないことです。案を出して説明して待つだけでは、お客様の中で候補のまま終わります。番手の意味、テストクロージングという合意形成、誰でも使える番手の聞き方テンプレート、記録で把握する方法を解説します。
無料テンプレート商談記録と週次会議に使える、記入例つきテンプレートを無料で受け取る
この記事の要点
- 本命になれない営業の共通点は「買って」が言えないこと
- 案を出す・説明する・見積もりを出して待つ。どれも仕事に見えるが決まらない
- 番手とは、お客様の中で自社が何番目の候補かを表す言葉。本命は成約率30〜40%
- テストクロージングとは、案を出すことではなく合意を取ること
- 「今いちばんいいと思っている会社はどこですか」なら誰でも聞ける
本命になれない住宅営業には、はっきりした共通点があります。「買って」が言えないことです。案を出して、説明して、返事を待つ。それだけではお客様の中で候補のまま終わります。ALLGRIT セールスAIの解析データもあわせて、なぜそこで番手が決まるのかを整理します。
「買って」が言えない営業マン
住宅は高額商材です。お客様は一度にすべてを決められません。だから資金、土地、プランと、ひとつずつ合意を積み上げていく必要があります。売れない営業ほど、これをやっていません。
代わりに何をしているかというと、こうです。
| やっていること | 前提にしている考え方 |
|---|---|
| いいプランを描いて提出する | いい案を出せば、お客様が決めてくれる |
| 仕様や性能を丁寧に説明する | ちゃんと説明した。決めるのはお客様 |
| 見積もりを出して返事を待つ | 検討する時間をお渡しした |
どれも仕事をしているように見えます。ただ、お客様に「うちでやりませんか」と言っていません。現場では御用聞き、あるいはプラン提出屋と呼ばれる状態です。
言えない理由の多くは、押し売りだと思われたくないという気持ちです。ただ、順番が逆になっています。決めきれないまま何社も回り続けるほうが、お客様にとっては負担です。
比較する会社が増えるほど、検討の期間は延びます。その間に土地は動き、資材の価格も変わります。決めどころで背中を押さないことは、親切ではありません。
言わない営業は、候補のまま終わる
「買って」を言わないとどうなるか。比較表の1社として残ります。そして最後は価格で並べられます。
ここで出てくるのが番手です。番手とは、お客様が比較検討している住宅会社の中で、自社がどの位置にいるかを示す言葉です。1番目の候補であれば本命、2番目以下であれば当て馬に近い位置にいることになります。
導入企業の商談データを見ると、番手によって成約率はここまで分かれます。
| お客様の中での位置 | 商談の状態 | 成約率の傾向 |
|---|---|---|
| 本命(1番手) | 「この会社で建てたい理由」が言語化されている | およそ30〜40% |
| 横並び | 価格と仕様で比較されている | 条件次第で動く |
| 2番手以下 | 判断材料が価格しか残っていない | ほとんど決まらない |
成約率を上げる方法は、最終局面で粘ることではありません。本命になれる商談の割合そのものを増やすことです。指標にしたものが一番手率、用語の定義は用語集の「番手」にまとめました。
なお、不動産売買で使う「番手」は購入申込の受付順を指します。注文住宅の番手はお客様の心の中での順位なので、社内で意味を揃えておいてください。
テストクロージングとは、合意を取ること
テストクロージングという言葉は知られていますが、案を出すことだと誤解されています。違います。案を出したうえで、合意を取るところまでが一組です。
| 案を出すだけ | 合意を取りにいく |
|---|---|
| 「資金計画をお持ちしました」 | 「資金計画はこれでいきませんか」 |
| 「この土地はいかがでしょうか」 | 「土地はここで進めてよろしいですか」 |
| 「プランをご覧ください」 | 「間取りはこの方向で固めていきませんか」 |
右側を、商談のたびに1つずつ積み上げます。資金で合意、土地で合意、プランで合意。小さな合意が重なるほど、お客様の中で「この人と進めている」という感覚が育ちます。
その場で「はい」と言っていただく必要はありません。引っかかっている点が出てくれば、それも成果です。 何が障害かが分かれば、次回に持ち帰るものが決まります。返事を待つ商談と、障害が分かっている商談では、次の一手がまったく違います。
そして最たるものが、この一言です。
お建てになるなら、ぜひ当社と一緒に進めませんか。
言うタイミングは最終局面ではありません。初回接客の帰り際から、商談のたびに置いていきます。早く言うほど、相手の反応から自社の位置が読めます。クロージングの進め方は住宅営業のクロージングとはにまとめました。
番手の聞き方テンプレート
「何番手ですか」と直接聞けば、確かに失礼になります。ただ、それは聞き方の問題です。言い換えれば失礼になりません。
今のところ、一番いいと思っているメーカーさんはどちらですか。
これなら失礼にあたりません。そして、誰にでも聞けます。技術の問題ではなく、勇気の問題です。
場面ごとに、そのまま使える形にしておきます。
| 場面 | 聞き方 | 分かること |
|---|---|---|
| 初回接客の帰り際 | 「今のところ、一番いいと思っているメーカーさんはどちらですか」 | 現時点の順位 |
| 他社の話が出たとき | 「他社さんのご提案で、いいなと思われた点はどこでしたか」 | 相手の強みと、自社に足りないもの |
| 提案後 | 「もし今日決めるとしたら、どちらになりそうですか」 | 本気度と残っている障害 |
| 検討が長引いたとき | 「今の時点で、一番イメージが湧いているのはどちらですか」 | 順位が動いたかどうか |
アンケート用紙の「検討中」では、本命なのか当て馬なのかが分かりません。会話の中で確かめて、はじめて位置が分かります。初回接客の進め方は住宅営業の初回接客とはにまとめました。
聞くこと自体にも意味があります。お客様は何社も比較し、頭の中で順位をつけ、決め手を探しています。そこに立ち入って整理を手伝う営業は、それだけで信頼されます。番手を聞くのは、お客様の意思決定の手間を減らす行為でもあります。
聞いて2番手だと分かっても、悪い知らせではありません。最終局面まで気づかないほうが危険です。分かった時点なら、まだ何が足りないのかを本人に聞けます。順位が下がる兆候は契約率が下がる住宅会社の特徴にまとめました。
決め手は、自社にしかできないことに紐づける
合意を取れていても、決め手がなければお客様は動けません。何社も見た中で「この会社にしよう」と言えるだけの理由が要ります。
その理由は、自社にしか提供できないことに紐づいている必要があります。気密も断熱も、業界全体で水準が上がりました。数値を伝えても近くの会社が同じ数値を出せるので、順位は動きません。
商談の中盤までに、次の3つが伝わっている必要があります。
| 要素 | 伝わっている状態 |
|---|---|
| 問題点の共有 | お客様の困りごとを、営業が自分の言葉で言い直せる |
| 差別化 | その困りごとに、自社の工法や体制がどう効くかが具体的に分かる |
| 相談了解 | 説明してくれる人ではなく、相談したい相手だと思われている |
この3つが揃わない商談ほど、最終決戦で価格に引きずり込まれます。構造は「最終2社」で価格競合に負ける共通点に書きました。
自社にしかできないことが何かは、机の上では決まりません。決めてくれたお客様が最後に何と言ったか、落ちたお客様がどこを他社の良さとして挙げたか。これを何十件も並べて、はじめて見えてきます。
番手を、感覚ではなく記録で把握する
番手を聞く習慣がついても、担当者の記憶に留まっていては組織の資産になりません。
| 番手を聞けていない組織 | 番手を聞けている組織 | |
|---|---|---|
| 案件の状態把握 | 「感触は良いです」という主観 | お客様の発言にもとづく位置づけ |
| 打ち手のタイミング | 最終局面で価格を出すしかない | 劣勢が分かった時点で進め方を変えられる |
| マネジメント | 結果を見て「頑張れ」と言う | 要レビュー案件を特定して時間を集中できる |
| 予実 | 月末にズレる | 契約確率を同じ物差しで積み上げられる |
商談を録音して解析すると、番手を聞けている商談の割合、その中で本命を取れている割合が数字で出ます。テストクロージングを何回かけたかも分かるので、「言えていない」という事実そのものが見えるようになります。
導入企業では、一番手率が約15%から約50%へ変わりました。全商談を録音してフィードバックする運用に切り替えた住宅会社では、来場成約率が12%から25%へ改善しています(導入事例)。記録の残し方は入力ゼロのAI商談解析、報告の見方は営業の報告が当てにならないのはなぜかにまとめました。
まとめ
本命になれない営業の共通点は、「買って」が言えないことです。案を出すだけで終わらせず、資金・土地・プランをひとつずつ合意しながら進めてください。
番手とは、お客様の中で自社が何番目の候補かを表す言葉です。本命の商談は成約率30〜40%、2番手以下は価格でしか戻せません。聞き方は「今のところ、一番いいと思っているメーカーさんはどちらですか」で足ります。あとは勇気の問題です。
成約率のどこを直すかの全体像は住宅営業の成約率を上げる方法、番手の把握から勝ちパターンの蓄積まではサービス紹介資料で解説しています。実例を交えた解説はセミナーもご覧ください。
よくあるご質問
本命になれない営業には、どんな共通点がありますか?
「買って」が言えないことです。プランや資金計画を出すところまではやるのに、「これで進めませんか」という合意を取りにいきません。いい案を出せばお客様が決めてくれる、と考えている状態です。
住宅営業の「番手」とは何ですか?
検討中のお客様の中で、自社が何番目の候補になっているかを表す言葉です。1番目の候補(本命)になれているかどうかで成約率が大きく変わります。不動産売買でいう申込順位とは別の意味です。
住宅営業のテストクロージングとは何ですか?
案を出して終わりにせず、「これでいきませんか」と合意を取ることです。資金計画も土地もプランも、ひとつずつ合意を重ねます。最たるものが「お建てになるなら、ぜひ当社と一緒に進めませんか」という一言です。
「何番手ですか」と直接聞いてもいいのでしょうか?
その言葉では失礼になります。ただ聞き方の問題です。「今のところ、一番いいと思っているメーカーさんはどちらですか」であれば失礼にあたらず、誰でも聞けます。
アンケートで「検討中」と書かれていれば番手は分かりますか?
分かりません。アンケートの「検討中」は、本命なのか当て馬なのかを区別できないためです。番手は会話の中でしか確かめられません。
出典・参考
- ギバーテイクオール株式会社 導入企業の商談解析データ(本命候補の商談の成約率30〜40%、一番手率 約15%→約50%)
- ギバーテイクオール株式会社 住宅・不動産業界の営業コンサルティング知見(テストクロージングと合意形成の進め方)
- ALLGRIT セールスAI 導入事例(全商談の録音・フィードバック運用で来場成約率12%→25%)


